「坐骨神経痛の治し方」みたいなキーワードで検索をかけると、同じようにセットで「梨状筋症候群」というものが結構ヒットする。
そしてYouTubeのような動画では、90パーくらいの確率で、「梨状筋」による狭窄や圧迫に対するストレッチ方法などが出てくる。
この90%の意見はとても理論的だし、梨状筋症候群は、一見まっとうなように思える。私も生のご献体を見させていただくまでは、そう考えていたしね。
筋肉の起始・停止、また運動学的方向を考えたとき、梨状筋は確かに大腿骨を外旋させ、梨状筋自体は弛む。
また、内旋方向へ動かせば、梨状筋はストレッチされ、そのときに隣接する坐骨神経との隙間は狭くなることが推測できる。
この狭くなるときに、坐骨神経を圧迫してしまうから、坐骨神経痛になるというのが梨状筋説。
前回のブログでも伝えたけど、生のご献体は非常に体が柔らかく、どの方向へも関節を動かすことは可能だった。(仙腸関節を除いては)
それならば、股関節を内旋に方向へ動かし、坐骨神経を圧迫できるのか見てみよう。
と、ご献体を実際に動かしてみた。
ところが、どうだろう?
まったく圧迫などされない( ゚A゚ )!
触診してみると、坐骨神経と梨状筋の間はそもそも十分なスペースが確保されている。(指が3本くらい入る)
坐骨神経自体はとても滑らかでツルツルのロープのよう。
また、梨状筋は教科書でみるよりも実物は小さく(短く?)厚さも薄い。
しかも見た感じの印象では、梨状筋の走行は真横のように見える。(教科書で見る限りの梨状筋は、若干斜め下方へ付着しているはず)
でも結果として、坐骨神経は圧迫しなかったし、圧迫しそうにもなかった。
そして表現が少し難しいけど、カエル足のように股関節を外転+外旋方向へもっていくと、坐骨神経自体がかなり緩み、坐骨結節を乗り越えてしまうほどだった。
神経ってこんなに弛むものなの??(゚Д゚;)
と、驚くくらいに。
これが、私が見てきた坐骨神経と梨状筋の関係性であり、真実。
梨状筋は坐骨神経を圧迫しない。
ただ例外もあるから、それは下のYouTubeから見てみてほしい。
これは私個人の意見なんだけど、坐骨神経を圧迫されて下肢が痺れるのであれば、何も梨状筋だけじゃなくても良くない?って思う。
だって、坐骨神経は下へ下降していくと、脛骨神経と総腓骨神経に分岐するよね?
それって、股の裏とかも通るじゃない?
そんなら、股裏とか、ふくらはぎをギュッと握っただけて、神経圧迫してるよね?って思ってしまうのだけど。
また、聞いた話によると、世の何%かの人は、坐骨神経が梨状筋を貫通しているパターンがあるらしい。
となると、そのパターンの人の場合は、確かに梨状筋がストレッチされた際に、本当に圧迫するのかもしれないよね?
だから、坐骨神経痛の原因が、全く梨状筋にないわけではないのだろうけどね。